第6章 桃園ミキ

(最終更新 2014.12.20)

桃園ミキ Momozono Miki 1982年 『大戦隊ゴーグルファイブ』
 桃園ミキ(ゴーグルピンク)
  出演 大川めぐみ

【設定】
[所属] 未来科学研究所。人類の輝かしい未来を作るために、本郷博士によって創設された組織。職員数二千、国際的なネットワークも持つ。
[敵] 暗黒科学帝国デスダーク。五千年の間、人類の歴史の影にひそみ数々の災いをもたらし続けてきた暗黒科学が、初めて持った統一国家。歴史の表舞台に初めて姿を現し世界征服への挑戦状をたたきつける。
[前歴] 新体操の選手。
[経緯] 未来科学研究所に連れて行かれて戦士になるよう言われる。
[能力] 未来科学研究所のコンピュータによって、戦士にふさわしい人間であると認定された。
[特技] 新体操。
[日常] 遊園地でアナウンス係として勤務。それを利用して仲間に暗号を送ることもある。
[その他] 新体操の選手だったとはいうが、どのレベルの選手だったのか、劇中に一切説明はない。日本チャンピオンだった、という設定も書籍などに出てくるだけ。

【解説】
 第39話でミキは絵本の中に捕らえられ、火あぶりにされる。両腕の自由を奪われた上に、炎に包まれ、もがき苦しむミキ。助けに駆けつけた男たち四人は、しかしモズーの前に手も足も出ない。
 この絶体絶命の大ピンチから間一髪、罠の僅かな隙をついて全くの自力で脱出を果たす、というのも戦隊ヒロイン史上ほとんど例のないことだが、ここで注目したいのは、その煤と汗にまみれた女戦士の傍らに駆け寄って、いたわりの言葉をかけようとやる奴が誰もいなかったということである。
 ゴーグルファイブは「組織」ではない。自由な個人の集まりである。そして仲間同士での助け合いを前提としない、個人としての強さを問題にするのであれば、ミキは間違いなく歴代で最強の女戦士である。
 特殊な遺伝子の持ち主ではない、秘伝の技術の継承者でもないもない。ただの普通の女の子でしかない彼女が、なぜそんな強さを持ち得たのか。普通の女の子だったからである。戦士にふさわしい資質として彼女が持っていたものが、勇気と正義感だけだったからである。正義を愛する心を持ち続ける限りにおいて、どんなに不利な戦いにおいても絶対に負けることはない。である以上、そこでは体格や筋力の性差は問題ではなくなる。
 しかしそれは理屈である。仲間の男たちに比べて腕も細く、背も低く、やわらかく傷つきやすい肉体しか持っていない女の子が、自分より何倍もの巨大な敵と戦い続けることは、どれほど辛くて苦しい戦いであったことか。肉体的なことだけではない。人を信じやすい、やさしい心につけ込まれ、それが彼女の足を引っ張りピンチに追い込まれることも度々あった。しかしそんな時でも彼女の顔から笑みが絶えることはなかった。
 この手の番組の常として、男たちは四人とも女好きである。ゲストキャラで、かわいい女の子が出てくればたちまち相好を崩す。そういうのが一人につき丁度一話ずつある。そして姫君を守るナイト気取りで大張り切りである。そんな彼らが、仲間の女の子が敵にやられている場面に駆けつけた際には、苦しそうに息を吐くその娘に「大丈夫か」の一言もない。そして助けられたほうも「ありがとう」とも言わない。
 なんでこんなに態度が違うのか。
 戦いで誰か負傷したとする。基地に戻った時に傷の手当をしてくれるのはミキである。女の役割だからではない。好意でやってくれているのである(サポートフタッフは他にいる)。もし彼女が弱い女の子であれば、その優しい笑顔と、彼女の巻いてくれる包帯に、男どもはどれだけ癒され、安らぎを与えられたことか。この娘を守るためにも頑張らなければと思うことが、彼らを一層奮い立たせることになっただろう。しかしそんな思いを抱く資格が自分たちにないことも、彼らには充分に分かっていた。なにしろ、ミキの最大のピンチに、何の役にも立たなかった四人なのだから……。
 『秘密戦隊ゴレンジャー』で、戦士にとって女であることは致命的なマイナスにはならないことが明らかになった、と書いた。ただマイナスなことに違いはなかった。では、マイナスでなくなることは果たしてあり得るのか。決着は本作でついたといえる。

【メイン回】
曽田博久/東条昭平
4 ムクムク暗黒地雷 〔曽田/服部〕
 間違って戦士に選ばれたのではという疑惑を向けられるミキ。
11 恐怖のマグマ作戦 〔筒井/服部〕
 突然噴火する死火山。調査中にミキは老人に出会う。
14 大変だ!地球沈没 〔曽田/山田〕
 民間の技術者に協力を乞うが、冷たくあしらわれるミキ。
22 呪い人形の攻撃! 〔曽田/服部〕
 ミキは変装して呪いの人形たちと接触を図る。
33 シーザー大爆破?! 〔鷺山/服部〕
 不老不死をもたらす腕輪の争奪戦。
39 悪魔の人食い絵本 〔鷺山/山田〕
 絵本の世界に閉じこめらたミキに迫る処刑の時。

 第20話「死の花毒サボテン」〔鷺山/山田〕もミキが活躍する回。