第7章 立花レイ

(最終更新 2014.12.28)

立花レイ Tachibana Rei 1983年 『科学戦隊ダイナマン』
 立花レイ(ダイナピンク)
  出演 萩原佐代子

【設定】
[所属] 夢野久太郎総司令によって集められた者たち。
[敵] 有尾人一族ジャシンカ帝国。地底人。地球外に起源を持ち、地底で独自の進化を遂げた生命体が、地上侵略に乗り出す。
[前歴] アマチュア発明家。動物との自由な会話を夢見る。
[経緯] 発明を援助してやるからと、夢野発明センターから招かれるが、本当の目的はジャシンカと戦う戦士に任命するためであった。
[能力] 大きな夢を持った発明家。
[特技] フェンシング。
[日常] 夢野発明センターで研究。
[その他] 五人全員に出身地の設定もあったのだが、レイが東京出身という設定は結局劇中には出てこず。

【解説】
 「何ボヤボヤしてるのっ!」
 第1話で弾北斗のバイクの後部座席に勝手に飛び乗り、どなりつけたレイを見たとき、いきなり度肝を抜かれた視聴者も多かったであろう。女が男にそんな口をきいていいのかと。
 どんな集団においても、男の役割・女の役割というのは存在するし、それに応じた言葉遣いや態度というものがある。その点ダイナマンにおいては、男の四人はレイを女扱いすることなど殆どなく、レイ自身もまたそれを当然と思っていた。男たちはレイを守らねばと意識したことなどないし、レイもまた男たちに包帯を巻いてあげるような雰囲気など皆無だった。
 それまでの歴代のヒロインに比べて、格別に強いということもなかったし、また格別に女らしくない性格をしているというわけでもなかった。レイがかわいくない所があるとすれば、声だけである。
 何故そんなことが可能であったのか。
 おそらく、彼らには夢があったからである。
 ダイナマンの場合、必ずしも地上の平和を守るという義務感や使命感だけで戦士になった者達ではなかった。五人が発明センターに来たのも、発明の夢を援助してやるという夢野博士の餌に釣られたからであり、戦いがない時は発明センターで怪しげな機械をいじって楽しそうである。それに五人とも発明家といっても分野が違うから、お互いのやることにあまり関心はない。さほど濃密な人間関係もないから、お互いを男とか女とか意識する機会も大してなかったのである。
 それまでの戦隊ヒロインは誰もが一種張り詰めたような雰囲気を持っていた。女には女の幸せというものがあり、それへの未練を捨てて自分たちは戦場に身を投じたのだ、とでもいうような。レイには悲壮さの影など微塵もなかった。彼女の幸せは、発明家としてのそれである。もちろん人並みに結婚への憧れはある。だが第13話のラストから判断するに、レイにとって結婚は人生における数多くのイベントの一つに過ぎず、人生のゴールなどでは全然ない。
 屈託のない、無邪気な明るさ。それがレイの最大の特徴であり、また魅力であった。第29話ではキメラから盗んだ服を着てはしゃいだりしているが、こんなことはそれまでのヒロインでは考えられないことである。そしてそんな呑気さがピンチを招いたりするのもまた、彼女らしかった。
 ただし、それは別言すれば、ジャシンカとの戦いがそれほど厳しいものではなかったということでもある。
 だから、終盤になって戦いが厳しさを増し、発明どころではなくなると、事情もまた変わる(第37話で発明センター閉鎖)。ダイナマンも、夢野博士に対する信頼感に基盤をおいた、鉄の結束を持つチームへと変化し、その中でレイもまた「女らしさ」に回帰することになる。
 第47話では毒にやられて倒れた南郷を、かいがいしく看病するレイ。そして第51話(最終話)では五人が千年洞窟に閉じ込められるという絶体絶命のピンチに、「もう出られないのかも……」と弱音をはき、弾に叱られる。この場合、みんなに活を入れるためにも、誰かが叱られ役を引き受ける必要があり、それは女であるレイが適役だったのである。それは第1話とは全くの対照をなしていた。

【メイン回】
曽田博久/東條昭平
13 さらわれた花嫁 〔鷺山/服部〕
 多発する花嫁誘拐事件。レイは囮になって敵地に乗り込む。
23 人間ナメクジ作戦 〔鷺山/東條〕
 人間がナメクジにされる事件。レイは一計を案じる。
28 人形人間を救え! 〔曽田/東條〕
 真夏の炎天下で身動きできずに苦しむ人々。
29 キメラの呪いの服 〔曽田/山田〕 KP
 星川がキメラから泥棒してきた服を着るレイ。
38 若返れ!天才頭脳 〔曽田/山田〕
 若返りさせられた老科学者はレイからも逃げようとする。
46 愛を貫くサーベル 〔鷺山/東條〕
 石にされた二郎を前に、レイは自らの判断の誤りを悔やむ。