第一部(第1話〜第15話、含劇場版)

(最終更新 2007.2.16)

 とにかく非力であり、戦士として未熟という印象が濃い。
 敵にやられそうになっては、仲間に助けられることもたびたびである。
 しかしそれでもすぐに立ち上がり、格上の敵にもひるまず向かっていく勇敢さや、人々をいたわり平和を願うやさしい心など、精神面では最初から完成された戦士であったことが見て取れる。
 危険度の高く負担の大きい任務を進んで行おうとし、また仲間もそれを当然のことのように扱うが、それは彼女を一人前の戦士として認めているがゆえである。ただ彼女が非力なのは現実である以上、冷たいのではないかという印象を受けるときもある。
 ピンクのトレーナーと白のホットパンツ、白のブーツがこの時期の普段着。
 髪は後頭部中央で結び、肩までかかる長さ。結ぶ箇所と長さに変動はあっても、基本的に髪型は一年を通じて大きな変化はない。

1 暗黒科学の襲来

 「みんな、やってくれるね?」
 たったそれだけだった。
 体育館で新体操の練習をしているところに現われた、小学生くらいの女の子、あかね。彼女に連れられ、何も分からないままやってきた未来科学研究所の秘密基地で、桃園ミキは本郷博士から、他の4人の男たちとともに、自分が戦士に選ばれたことを告げられる。
 デスダークの攻撃によって、次々と炎上爆破される建造物。「なぜ自分が……」などと考える猶予すらなかった。「ようし、やってやろうじゃないか!」とノリノリの男性陣。そしてミキもまた突き動かされるかのように右腕を差し出し、ブレスレットを受け取った。ゴーグルピンクとして戦う使命と一緒に。
 初戦を勝利で飾り、基地に戻った戦士たちは待ちかまえるコンボイを一人ずつ高く抱きかかえて喜びを示す。その中、ミキだけはあかねを持ち上げられず、手を取り合って喜ぶだけ。それは、これから続くであろう長くて苦しい戦いが、彼女にとってはとりわけ辛いものになるであろうことを予兆しているかのようでもあった。
 あかねの持っていた写真では黒っぽいチェック模様の服、体育館では新体操のレオタード、基地に連れられたときは白いジャージ。戦いから戻ったときに初めて見られる普段着姿。

2 起て!未来の戦士

 今回は説明編。
 古代トルコでヒッタイト人が初めて鉄を発見したと思われる遺跡から、すでに槍や刀が出土してくるという事実が、デスダークという設定の下敷きになったのだろう。人類の文明の歴史は、そのまま兵器の発達の歴史でもあった。人類はすばらしい文明を築き上げる一方で、恐ろしい兵器を作り、数多くの文明を滅ぼしてもきた。
 本郷博士の口からは、未来科学とか暗黒科学とかいうものが存在するかのように語られるが、そうではなく、人類の築き上げてきた文明は、正の側面も負の側面も持っているものである。そして負の側面を担う科学を便宜的に暗黒科学と呼んでいる。
 そしてそれに対抗するために、正の側面である未来科学を担って戦うべく戦士として選ばれた者、それがゴーグルファイブなのであった。
 重力をあやつるトリモズーの前に一度は敗れ基地に戻る五人だが、再びの出撃ではコンボイたちの的確なサポートによりトリモズーを倒す。
 普段五人が後楽園遊園地で働いている様子も描かれる(第4話で再登場)。ミキはアナウンス係として働きながら仲間との連絡係をつとめている(服は紫っぽい色)。

3 デストピアを撃て

 今回から戦士一人一人に焦点を当てた話が始まる。第1弾は赤間。
 戦うことがすべて、という彼のキャラクターは、もう最初から鮮明に打ち出されている。この回は彼のプライベートが描かれた唯一の回でもあるのだが、地球の平和を守るという重い使命を負って戦う戦士は、たまの休みの日にはのんびり過ごすのかなと思いきや、よりにもよってザイル持って旧友と登山とは。
 変身前アクションが初めて披露された回でもあるが、マダラマン2人を投げ技で倒すミキは、どことなく危なっかしく頼りなさそうではある。だがその直後山小屋の前で、こんなに警戒が厳しくては人質を助けるどころじゃないやと弱気なことを口にする男たちに、「でもなんとかしないと!」とミキが言い返す。仲間の勇気を鼓舞する彼女の役目も、彼女自身が必死に戦う姿があったからこそであろう。この段階ですでに、五人のなかにおけるミキの役回りは決まっていたといえる。

4 ムクムク暗黒地雷

 「なんでこんな弱そうな女の子が、地球を守る戦士なんかに選ばれたのだろう?」という疑問も、別にこのままやりすごせば、視聴者としても特に問題視することではなかった(いわゆる「お約束」)。それをあえて触れたのが今回である。しかも真っ正面から。
 メロンボンバーの直撃弾をくらい、瀕死の重傷を負ってしまうミキ。基地に戻り、ベッドの上で苦痛に身をよじり、痛々しいうめき声をあげる傍らで、黒田はコンボイのミスを指摘する。だが、問題は果たしてそれだけにとどまるのか?
 戦士の選抜じたいにミスがあった可能性はないのか?
 コンボイとゴーグルファイブとの間に険悪な雰囲気もただようが、みどりとさゆりは彼らを前に、本郷博士の抱く未来科学の理想を語った。
 5人の戦士がどういう仕組みで選ばれたか、というのは実は大した問題ではない。問題は、誰が選んだかである。
 未来は子供たちのものである。それが未来科学の理念である。である以上、その未来を守るために敵と戦う使命を帯びた戦士は、当然子供自身によって選ばれなければならないことになる。そして、その判断に、いったい他の誰が疑いを差しはさむことができるというのか?
 最初の頃のミキは、とても戦士として頼りがいを感じさせるとは言いがたい。見るからに頼もしい赤間や黒田に対し、強靱な肉体も優秀な頭脳も専門的な技能や経験も何も持っていない、ただのやせっぽちの女の子に過ぎない。そんな彼女が、人類の運命のかかった命がけの戦いに投入されて、耐えていけるのか?
 耐えていけるとか耐えていけないとかいう問題ではない。彼女はコンボイに選ばれたのである。選ばれた以上、耐えなければならないし、耐えられるはずなのである。
 ミキにもそのことは分かっていた。彼女は、傷ついたフラフラの体を壁にはわせて立ち上がり、みんなの前にであかねを抱きしめながら、「ゴーグルファイブは、がんばるわ!」と力をふりしぼって宣言する。これから続くであろう長い戦いで、何度も何度も傷つき倒されるであろう、しかしそのたびに立ち上がり、命の続く限り戦い続ける、そう決意を新たにした瞬間だった。
 そんな彼女の血を吐くような決意を、まるで当たり前のことのように聞く赤間。
 再出撃するゴーグルファイブ。しかし彼女はまたもやクモモズーに集中的に狙われ、首を絞められたまま宙づりにされ、もがき苦しむ。しかし彼女はさきほどの決意そのままに、仲間の助けも借りながら立ち上がり、クモモズーに逆襲の一撃を放つ。
 この回以降、ミキの戦士としての資格が疑われることはなかった。
 彼女はゴーグルファイブの一員であると認められたのである。だが、それは同時に、今後どんなにつらい試練が待ちかまえていようと、決して弱音を吐くことが許されないことをも示していた。仲間の男たちに比べて、圧倒的に柔らかく、傷つきやすい肉体しか持っていない彼女にとって、この戦いがどれほど辛く、厳しいものであったか。だが仲間はそんな彼女に対していたわり気遣うような姿勢を示すことはほとんどなかったし、彼女もまたそれを当たり前のことと受け止めた。そして以後戦士として大きく成長していくことになる。

5 悪魔がひそむ昔話

 天涯孤独の岩田老人にとっての生き甲斐は、彼の故郷に伝わる昔話を紙芝居にして語り伝えることだけであった。だがその昔話に思わぬ真実が含まれていたために、デスダークの魔の手が伸びることに。
 青山・春男と3人で行動するミキだが、そこに出現するカマキリモズー。必死に戦ってはいるものの、非力な彼女は青山の足手まといに。しかし青山の背中越しにモズーをキッとにらみつけ「おじいさんはどこ!」と問いつめるミキの表情は、人々を守りたいという一途な気持ちだけは最初から一人前と感じさせる。
 事件が起きていないときの、ゴーグルファイブやコンボイたちが司令室でくつろぐ場面が初めて描かれた回でもあるが、どんな時でもひたむきなミキは、やはりここでもくつろいでいるようには見えない。男性陣が将棋に興じ、ミキはみどり・あかね相手にトランプをしているのだが、他の人間が全員座っている中なぜか不思議なことに彼女だけが立っている(ちなみに彼女が遊んでいるシーンは全編通じてこれのみ)。

6 悪役レスラーの愛

 デスダークの起こした連続宝石強盗事件に巻き込まれた悪役プロレスラー・ヘルマスク。彼の凶悪な顔の下に隠されたやさしい心を救うために黒田は戦う。
 「あとはゴーグルファイブにまかせて、あなたは手を引いてください」と説得する黒田とミキだが、抜群の身体能力を持つ黒田に言われたからこそヘルマスクは折れたのであって、ミキを無視しているような態度も感じられる。
 だが、たとえ巨漢レスラーといえども、幼稚園児と触れ合うささやかな幸福を守りたいと願った時点でヘルマスクは「守られる側の人間」なのである。彼は知らないのだ、彼の体重の半分もないような、このやせっぽちの女の子が、ついさっきまでマズルカやヤモリモズーに痛めつけられながらも必死に戦っていたことを、そしてそのダメージの残っているはずの体で、平気な顔をしながら、彼の身を案じ看病し、これ以上彼を危険な目にあわせまいと必死に説得をしていたということも。

劇場版 大戦隊ゴーグルファイブ

 デスダークから脱走してきたと称し、ゴーグルファイブに保護を求めるイガアナ博士。信用できない、ワナかもしれないと男性陣がおおむね冷淡な態度をとるなか、彼女を助け、赤間や黒田に対して彼女を信じるよう懇願するミキ。
 デスダークに対してすらいたわりの心を持つ、ミキの純粋なやさしい心がクローズアップされる回ではある。体力はもちろん、知力も、特殊な技術も、仲間の男たちと比べて何一つ優れた点を持っていない彼女にとって、優っているものはと言えば、「やさしさ」だけではなかったか。そのやさしさは、敵に付け込む隙を与え、何度も何度も彼女をピンチに追いやりもしたが、またどんな苦しいときでも強敵に立ち向かう勇気を彼女に与えてくれたりもしたのであった。
 ただし、それは後の話であって、今の時点ではそれは彼女の戦士としての甘さを意味するものでしかなかったのだが。
 デスダークの東京壊滅作戦を防いだ後、事件にまきこまれた女の子・ユカリを五人は見舞う。ユカリに対して向けるミキの笑顔の屈託のなさはいつもと何も変わらない。ただその笑顔は、彼女のやさしい心がこれから何度も何度も戦士としての彼女の足を引っ張りもし、また力を与えもすることに、今はまだ気づいていないことを表わしているようでもあった。
 一貫してワナの可能性を主張していた黒田だったが、本当にワナだと判明するや、自分を責めようとするピンクを真っ先にかばうなど、ミキのメインの回ではなぜか黒田がからんでくることが多い。

7 幽霊になったパパ

 成田博士を誘拐し、死んだふうに偽装するデスダーク。だが息子タケシは彼の生存をかたくなに信じる。ゴーグルファイブは博士の発明品であるコンピューターを利用して、親子の心の絆を使って博士の居場所をつきとめることに成功。博士の頭脳を利用したデスダークの破壊活動も打ち破られた。
 第6話に続き、ミキが常に男性陣の一人とペアで行動するのは、やはり頼りないと仲間からも思われているからだろうか(そういう意味では、黄島とのパトロールでミキの方がハンドルを握るのは、イメージに合わないような気がするが)。「お父さんは生きてるよね、絶対に生きてるよね!」と涙ながらに訴えるタケシがすがったのがミキではなく黄島だったのも、やはり子供心にも頼りなさそうだと思ったからか。

8 狙われた美人博士

 『ゴーグルファイブ』の主人公はゴーグルファイブではないと概論に書いたが、第8話、第13話、第38話はその例外。今回は青山が主人公。
 超真空発生装置の設計図を持って来日するサリー博士。その設計図を奪わんとするデスダークから、彼女を護衛する任務をゴーグルファイブは受ける。
 サリー博士が若い女性と知って急にハッスルする青山のお調子者っぷりは、青山の戦士としての未熟さの現れであるが、彼女を守る必要がなくなった後ですら、彼女を死にもの狂いで守ろうとした彼は、戦士としての成長のなさを示すものであっただろう。だが、それでいい。それが青山の青山たる所以である。仲間の命すら捨て石にすることもあるという、非情な戦いの掟を冷静に受け止める黒田と対照的であった。
 部署は違えど、彼女もまた命を捨てて戦う戦士であると知った後の青山には、もはや当初の軽さはない。全編を通じてゴーグルファイブの男4人が、守るべき一般人の女の子を前に一時的にデレデレすることはあっても、ミキに対しては絶対にそのような態度をとることがなかったのは、多分同じ理由ではなかったか。
 顔の濃い俳優を使うなどし、国際的な規模での戦いという雰囲気を最大限出そうという演出も楽しい(他に第20話のメキシコ、第33話のインド)。

9 地獄のキノコ村

 周囲からの情報が完全に遮断され、江戸時代の生活がそのまま続いている村に、赤間は迷いこむ。そこではバクモズーがお館様になりすまし、村人たちにバクダケの栽培を強制させていた。
 ゴーグルファイブもまたチョンマゲを結うなどして村に潜入して立ち回り、変身後の戦闘もゴーグルサーベル日本刀バージョンで戦うなどチャンバラ時代劇編として貫徹された回。
 初期は役立たずの印象が濃いミキだが、他の4人とは異質な、女の子ならではの戦いを今回からやっと見せてくれる。バクモズーに洗脳され襲ってくる人々に対してはピンクハート催眠だけが通用したし、舞いを踊る村娘に変装して敵に接近し、人質にされた少年の縄を着ることができたのもミキだからこそ。戦闘場面での活躍も目立つ。村娘姿で短刀を手にし、忍者姿のマズルカと対決しては互角の腕を見せ、またバクモズーの作り出した幻想の世界では、モズーに投げ技をくらわせるミキの婦警姿がりりしさを感じさせた。

10 珍種ポマトの秘密

 平凡な日常を送っていた人間が、ある日突然特別な能力や地位を手に入れ、欲望の渦にまきこまれていくという話は本作でもよく作られたが、その第1弾(残りは第33話と第41話)。
 イガアナ博士が落としたミニサイザー、それを偶然手に入れた農学部の平凡な学生・小沼はそれを使って生物の新種を作り、自分の発明だとマスコミに発表する。世間の寵児となった彼は名声欲に目がくらみ、心配する弟妹の悲痛な叫びも届かない。やがて彼らに迫るデスダークの魔の手。後輩である小沼とその弟妹を守るために黒田は奮闘する。
 最初の戦闘で、黒田が襲われているところにピンクが駆けつけ敵を倒すというシーンがあるのだが、4人のうちピンクが一番近い位置にいたから偶々そうなっただけであろうけれども、ただ男のピンチを女が救うというのは、当時としてはかなり珍しい構図ではあった。
 マダラマンと戦った後、冷たい雨のなか徹夜で見張り、夜が明けてまた戦闘と、ミキの戦士としての激務は続く(ちなみに唯一屋内に配置された青山は居眠りをしている)。任務中は真剣そのもの彼女だが、「だいぶ降ってきたなあ」という、たいして意味のない赤間の会話に対しても、いちいちそんな真剣な顔でうなずかなくてもいいのにという気はする。
 そしてラスト、黄島が食い意地の張ったボケをかまし、それをミキがたしなめるというシーンがあるのだが、当初は彼女を学級委員長的なキャラにするつもりもあったのだろうか? 以降そういうシーンは減っていくのであるが、やはりイメージに合わなかったからであろう。

11 恐怖のマグマ作戦

 牡牛山の山番小屋で守人をつとめる吾作じいさんは、村長と対立し引退を勧告されていた。そこに休火山であったはずの山が突如噴火。デスダークの陰謀か。ゴーグルファイブも調査に乗り出すが、事件にまきこまれた吾作は下山に追い込まれる。彼を慕うタケル少年は、涙ながらにミキに事件の解決を訴える。
 タケルと山道を歩く彼女はまさにどこにでもいる普通のお姉さんといった感じで、初期のういういしい雰囲気をとどめていた。
 だが戦士としてはまだまだ非力。一人で戦うのは今回が初めてだが、集団で襲いかかるマダラマンに果敢に戦うも、マズルカにやられそうになりレッドに助けられる。5人そろった後でも仲間の足を引っ張る場面が目立つ。
 悪い奴を早くやっつけてと、目に涙をためて懇願するタケルに対してミキがただ黙っていることしかできなかったのも、まだ自分にはそんな力がないことを知っていたからか(そして横から男性陣が「まかせておけ!」と口をはさんでくる)。
 山を愛する人々を守りたいという、彼女のやさしい心が描かれはするものの、それを力に変えるすべを彼女はまだ知らない。

12 嘘から出た砂地獄

 嘘つき少年と評判の正彦と妹のトモ子は、偶然アリジゴクモズーを目撃する。だが、誰も彼らの言うことを信用しない。調査に乗り出した黄島も捕まってしまう。
 教訓話としては非常に正統の作りだが、それよりも黄島のような明るい性格を持った男がメンバーでいてくれることの貴重さを感じさせてくれる回として印象深い。死を間近にしてなお暢気な態度を見せる黄島の楽天性を、単なる鈍感としか見ることができなかったのが、デスダークの敗因であったのだろう。
 これ以降も、地球の命運を賭けた命がけの戦いが続く中、他の4人にとってムードメーカーの存在がどれほど有り難かったかしれない。黄島のもう一つの特長である「怪力」よりも、こっちのほうがずっと貢献度は大きかったのではないか。
 人質を救出し、アリジゴクの穴から脱出するゴーグルファイブだが、トモ子を抱きかかえながら走ったのはピンクだった。子供を救出する回などでは活躍の目立つ彼女であるが、五人の中でもっとも非力な彼女にとっては、子供の体重だって決して軽いものではなかっただろうに。

13 大暴れ地底ナマズ

 今回は黄島が主人公。
 地震の調査中、幼い頃に生き別れになっていた親父とおぼしき人物と出会う黄島。二人には共に力をあわせてデスダークの東京壊滅作戦をたたきつぶす。ナマズモズーを倒した後、二人は親子の名乗りもあげずに別れる。
 どうして名乗り合わないのかと不審に思う青山・ミキ。戦士である以上それは当然のことと言い放つ赤間・黒田。
 本作では、家族を人質に取られデスダークに脅迫される一般の科学者や技術者がしばしば登場する。自分の命はどうでもいいから、息子や娘の命を助けて欲しい、と。そして大量殺人計画に荷担する彼ら。
 一般人ならそれも責められまい。しかし彼らと違って戦士たちは、家族との安らぎの時間を持つことなど許されないのだ。
 なお、黄島以外の4人の家族については本作では結局触れられることはなかったが、やはり同様に天涯孤独の身の上だったのだろうか。

14 大変だ!地球沈没

 ピンクミラー強化のために、ミキはレンズ磨きの職人・神谷鏡太郎を訪れる。しかし彼はすでにデスダークの手の内にあり、金に目がくらんだ彼によってミキの懇願は冷たくあしらわれる。しかもそこにデスダークが出現、目の前で神谷の娘・千鶴をみすみす人質として奪われてしまう。そして建物に仕掛けられた時限爆弾が爆発。
 地球の運命がかかっているのだから、強引に神谷を徴発してもよさそうなものだが、それができないというのがミキの性分なのだろう。神谷の前でデスダークがその本性を現わした時、千鶴や神谷を守ろうと必死に戦うミキに神谷は心を動かされ、協力を申し出た彼によってピンクミラーの強化に成功、人質も無事救出した。
 デスダークの邪悪な力の前に、彼女の純粋な心が踏みにじられ、一度は敗れるという展開は今後も何度も登場することになる。しかしその純粋さこそが人々の心の絆を回復させ、そして最後には彼女に力を与えることになる。
 なお、ピンク一人で合成怪獣と戦う場面は今回が初めて。敏捷な動きで敵を惑わすというのが彼女にとっての唯一の戦法であり、だが一度相手に体をつかまれてしまっては女の力ではなすすべもなくやられるだけ、このパターンはすでにこの回で確立されている。大勢のマダラマンとアンコウモズー相手にたった一人で立ち向かったにしては、善戦と呼んでさしつかえないが、結局はレッドに助けられることに。
 男と組んでペアで行動することの多かった彼女だが、今回は一人で神谷の家を訪れるなど、積極的になってきたような感じも見受けられる。ただ第11話と同様、神谷との会話している最中に赤間に「必ず千鶴ちゃんを救います!」と横入りされてしまうミキは、やはり仲間から格下と思われているのだろうか。

15 甦る悪魔の大元帥

 敵幹部交代編。
 2000年の眠りから覚めたデスマルク大元帥は、失敗ばかりのイガアナ・ザゾリア両博士を処刑、以後作戦の指揮を執る。
 ハチモズーに命のエキスを吸い取られ、みるみる老化する達也。死を前になおコンボイとしての誇りに執着する彼を見て、赤間の怒りが炸裂。そしてそんなレッドに一騎打ちを挑むデスギラーの、誇りの高さと卑劣さが同居するキャラクター。
 「達也君が死んじゃうなんて!」とあかねに抱きつかれて黙っているミキはやっぱり頼りなさそうである。また第11話に引き続き、5人そろっての戦いでも仲間の足を引っ張るピンク。